会津の雪

ふくは~うち、おには~そと。
福は-内、鬼はー外。
こうした子供の声がなにやら隣の家からかすかに洩れ聞こえてきた。
ああ~今日は節分なのか。
こんな光景は近頃はあまり見かけなくなりましたが、それでもスーパー等へ行くと鬼の面が付いた豆の袋菓子が売られていたりします。
この日を境として明日からは立春となり春の足音がかすかに聞こえ始めてきます。
2月3日の節分は冬に入る季語ですが、翌日の4日からは春の季語となり文字通り季節を分ける日の到来となるわけです。
しかし現実にはまだまだ寒が大変厳しく、あたり一面雪の冬景色なのですが暦の上の世界は今の現実の様よりちょっとだけ先を行っているのが大変おもしろい所で、もう少しすると暖かくなるんだ、もう少したつと花が咲き始めるんだよと、手の届きそうな距離感のところに期待や希望を潜ませている。
本当に暦の持つ力は素晴らしいと感じます。

さて、最近たまたま目にした万葉の歌に心引かれるものがありました。
      世の中を   何に喩へむ   朝開き
          漕ぎ去にし船の   跡なきごとし
(世の中を、何に喩えたらいいのだろうか、それは、朝早く港を漕ぎ出て行った船の航跡 が、何ものこっていないようなものだ)約1500年くらい前の万葉人が詠んだ歌です。
毎日、世の中について色んな事を言ったり、日々の中に喜怒哀楽はあるけれど、そうした事を全部超えた後には何もない。
非常にきれいサッパリ感があり解釈の仕方によっては此岸と彼岸の意味合いもあるようです。

私たちの和菓子の世界では万葉の世界や俳諧の中に表現されているものを題材としたお菓子が多くあります。
これは日本という国のなかで連綿と受け継がれてきた美意識をとても大切にしているからです。
さて今の季節は梅を写したお菓子などはなかなかによろしいのではないかと思います。
私のところでも毎年、小梅をかたどった紅白の最中を作っておりますが、いち早く春を告げる花として百花のさきがけと言われる梅に初春を思いながら熱いお茶とともに頂いてみるのも至福のひと時です。